「全国高専テニス選手権大会の思い出」
元全国高専テニス専門部委員長 留岡 正(元富山商船準教授)
*富山県・北信越テニス協会理事長、日本テニス協会評議員・理事を長年歴任、高専テニスのPRに貢献された。
私が富山商船高専に赴任(1969)し,テニス部を創設した当時,全国高専体育協会(専体協)主催の全国大会に「テニス競技」はなかった。全国高専の顧問の先生方の署名を添えて専体協に働きかけたが、いつまで待っても反応がなく、自分で全国大会を立ち上げないと誰もやってくれないと悟り,一人奔走した。さながらドンキホーテの如しであった。
まず、最も権威のある(財)日本テニス協会(JTA)の主催をもらうべく、当時JTA副会長の太田芳朗さんに訴え,全国高専テニスマン達の代表としての私の熱き情熱に彼は心を動かしてくれた。学校テニスをJTA主催とする前例はなかったが,特例ということで主催名をつけてくれた。但し、財政的にもその他においてもあらゆる援助はできないという条件であった。
第1回大会を富山開催とし,ブロック予選を全地区で実施してもらった。1円もない大会資金を集めるのには苦労した。富山県テニス協会が物心両面で全面的に協力してくれた。
いろいろな困難を乗り越え,記念すべき第1回大会は富山大学のクレーコートで開催された。北海道から九州までの高専がプラカードの下に整列した姿を見たとき,今までの苦労が走馬灯のように思い出されて,涙が溢れでた。選手の旅費はほとんど自己負担であった。そんなことを問題ともせず,全国大会が生まれたことを皆で喜びあった。私の苦労が報われた瞬間であった。全国の高専テニスマンに支えられた手作りの大会は,この火を消すまいと次々と各地の高専が苦労覚悟で引き受けてくれた。この大会は「フェアプレー」をベースとし、勝敗のみでなく、選手、顧問の先生方の「ゆかいな交流」の場ともなり、今に引き継がれている。そして、その後は専体協とJTA共催の大会として発展してきた。
大会の記録を振り返ると、第1回大会を富山商船が団体・個人シングルス・ダブルスと三冠を達成し、それ以降団体は3連覇2回(第1~3回、第27~29回)を含め12回優勝、三冠6回達成と高専テニスをリードしてきた。また、富山商船選手が富山県代表として鹿児島国体(1972)や青森国体(1979)に出場したり、JAL CUP国際ジュニア選手権大会(1986)や全日本ジュニア選手権の出場などにより高専PRにも大いに貢献してきたのである。
平成4年からは女子個人戦も開催(7年より正式種目)されるに至ったが、最後に、本大会に「団体女子」の種目を入れて、高専女子選手に夢を与えていただきたいと願うばかりである。
獅子奮迅像(優勝杯)について
(元全国高専テニス部委員長 留岡記)
第1回大会が富山の地で産声を上げたのを記念して、第4回の国体リハーサル大会に花を添え るべく、永久保存の持回り品として、より立派なものをということで、元富山県テニス協会会長 稲浪秀晴氏のお力添えにより、富山県を代表する高岡銅器産業、その中でも世界的な高級美術品 製作会社として名高い、黒谷美術株式会社の黒谷他津雄社長の特別な御厚意により、獅子奮迅像 を御寄贈いただき、全国の高専選手、役員一同深く感激いたしました。なお、本像は日本芸術院会員、今は亡き北村西望氏の作による、きわめて格調高い、高価なも のであります。また、黒谷株式会社はあの有名な長崎の原爆記念像等、日本の代表的な記念像のほとんどを製 作され、日本国内のみならず海外でも高く評価され、日本美術工芸品のすばらしさを認識させる 大きな役割を果たしてこられました。このようなすばらしい像(優勝杯)を争って、それにふさわしい獅子奮迅の熱戦を展開され、 本大会が益々発展していくことを祈り、ここに獅子奮迅像の紹介といたします。
全国高等専門学校体育大会50回記念誌
高専体育大会の記念誌が発行されました。
回 | 年度 | 主管校 | 地区 | 主担当教官(員) | 事項 |
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昭和52年 | – | – | – | 坂本 | 東日本大会開催 |
1 | 53 | 富山商船 | 東海北陸 | 留岡 | 選手とも自費参加 |
2 | 54 | 北九州 | 九州 | 中野 | |
3 | 55 | 鈴鹿 | 東海北陸 | 浜辺 | |
4 | 56 | 松江 | 中国 | 宇野 | 国体リハーサル大会を兼ねる優勝旗・獅子奮迅像寄贈される |
5 | 57 | 小山 | 関東信越 | 佐藤 | |
6 | 58 | 大阪府立 | 近畿 | 河田 | 資金集めの負担軽減、各高専分担金制定 |
7 | 59 | 高知 | 四国 | 今井 | |
8 | 60 | 旭川 | 北海道 | 中島・青村校長 | 北海道地区高専体育協議会との共催 |
9 | 61 | 都城 | 九州 | 宮崎 | ここまで昭和ゴム・日本楽器製造が協賛 |
10 | 62 | 宮城 | 東北 | 加瀬 | この年よりダンロップスポーツが協賛 |
11 | 63 | 石川 | 東海北陸 | 中村 | 日本テニス協会より富山商船が優秀団体賞、留岡が優秀指導者賞を受賞 |
12 | 平成1 | 東京 | 関東信越 | 潮 | 専体協との共催となる全国大会シード基準制定 |
13 | 2 | 豊田 | 東海北陸 | 赤木 | |
14 | 3 | 久留米 | 九州 | 中島 | |
15 | 4 | 茨城 | 関東信越 | 渡辺 | 女子個人戦をオープンで実施 |
16 | 5 | 米子 | 中国 | 長井 | |
17 | 6 | 八戸 | 東北 | 松橋 | |
18 | 7 | 奈良 | 近畿 | 阪部・大植 | 女子種目が追加される |
19 | 8 | 熊本電波 | 九州 | 小松 | |
20 | 9 | 富山商船 | 東海北陸 | 中谷・古川・留岡 | 20回記念大会 |
21 | 10 | 小山 | 関東信越 | 北城 | 福井高専坂井正之が専体協表彰 |
22 | 11 | 弓削商船 | 四国 | 浜中 | |
23 | 12 | 函館 | 北海道 | 浜 | |
24 | 13 | 広島商船 | 中国 | 藤富 | |
25 | 14 | 仙台電波 | 東北 | 福地 | 長野高専坂田裕介が専体協表彰 |
26 | 15 | 佐世保 | 九州 | 藤村 | |
27 | 16 | 沼津 | 東海北陸 | 若松・竹口 | |
28 | 17 | 長野 | 関東信越 | 宮尾 | |
29 | 18 | 舞鶴 | 近畿 | 舩木 | 富山商船が優秀団体賞(日本テニス協会)受賞、専体協表彰を受ける |
30 | 19 | 高松 | 四国 | 徳永 | |
31 | 20 | 旭川 | 北海道 | 石井 | 富山商船が優秀団体賞(日本テニス協会)受賞 |
32 | 21 | 有明 | 九州沖縄 | 川瀬・田中 | |
33 | 22 | 石川 | 東海北陸 | 河合・北田 | |
34 | 23 | 東京 | 関東信越 | 黒田 | 福井高専が優秀団体賞(日本テニス協会)受賞 |
35 | 24 | 松江 | 中国 | 門脇 | 寺本嵩史(徳山)、黒木沙織(都城)、山本唯・山川若菜(鈴鹿)が専体協表彰 |
36 | 25 | 福島 | 東北 | 篠木・菊池 | |
37 | 26 | 香川(詫間) | 四国 | 鰆目 | |
38 | 27 | 熊本(八代) | 九州沖縄 | 上土井 | 専体協50回記念大会,団体戦は出場枠を16校に拡大して開催 |
39 | 28 | 岐阜 | 東海北陸 | 空 | 岐阜高専テニス部が「テニスの日特別賞」受賞 |
40 | 29 | 木更津 | 関東信越 | 嶋野 | 遠藤悠馬(茨城)が男子シングルス三連覇 |
41 | 30 | 大分 | 九州沖縄 | 東木 | |
42 | 令和1 | 宇部 | 中国 | 小泉 | |
43 | 令和2 | 大阪府立 | 近畿 | 中田 | 新型コロナ感染症の拡大により大会中止 女子地区対抗団体戦エキビジョンマッチ企画 |
44 | 令和3 | 仙台 | 東北 | 武田 |